イギリスの「国会議事堂」でもあるウェストミンスター宮殿とアビーに潜入してきたのは2015年9月。
その約7年後の2022年9月19日、
イギリス史上最も長く君主を務めた女王「エリザベス2世」の国葬が、ウェストミンスター・アビーで執り行われたことで、世界中の注目を集めました。
どちらも11世紀にエドワード王(懺悔王・証聖王)によって建てられ、宮殿は16世紀まで国王の住居でした。
その後、1547年から国会議事堂として使用され、17世紀半ばのピューリタン(清教徒)革命の舞台になっています。
世界遺産、全部行ったら海賊王!
ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター・アビーとセント・マーガレット教会
(Palace of Westminster and Westminster Abbey including Saint Margaret’s Church)
1987年登録/2008年範囲変更
2015年9月22日
イギリスの首都ロンドン
長い名前の世界遺産ですが、さすがは大英帝国の中心部。スケールが違います。
構成資産は
・ウェストミンスター宮殿
・ウェストミンスター・アビー(修道院)
・セント・マーガレット教会
少し前までの表記では、宮殿はそのまま、あとはウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会でした。
寺院→修道院に…世界遺産大事典(下)に統一しています。
キリスト教の建物なのに、なぜ寺院と訳されているかはわかりません…
地下鉄の駅を出るとそこには、ロンドンの象徴「ビッグベン」が!
このウェストミンスター駅は、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」のメインのロケ地としてよく使われた場所のようです。
EUから離脱したり、何かと変化が激しい国です。2015年に行った時とは大違いです。ポンドも…
ウェストミンスター宮殿
この荘厳な外観は、テムズ川側からでないと全体の撮影は難しい…
現在の姿になったのは1860年。
ビッグベン側が「庶民院」、反対側が「貴族院」です。
宮殿入口付近の警備には、機関銃を持った警察官が3人… テロ対策でしょう。
何もない時は、談笑していました。平和が一番、平和であれば何でもできる!
国会会期中は、傍聴券(無料)を手に入れると議会を傍聴できます。
8~10月は議会が閉会中なので、議事堂内部はチケットを購入すれば、見学できます。(※2015年のお話)
知らずに行ったのですが、9月だったので、チケットを購入し、中に入れました。
うむ、運がいい!
リチャード1世(Richard I、1157- 1199年)は、プランタジネット朝(アンジュー朝)第2代のイングランド王(在位:1189年 – 1199年)。
ヘンリー2世の三男(第4子)で、母はアリエノール・ダキテーヌ。妃はベレンガリア・オブ・ナヴァール(ナバラ王サンチョ6世の娘)。
生涯の大部分を戦闘の中で過ごし、その勇猛さから獅子心王(Richard the Lionheart、フランス語ではCœur de Lion)と称された。
中世ヨーロッパにおいて騎士の模範とたたえられたが、10年の在位中イングランドに滞在したのはわずか6か月。
その統治期間のほとんどは、戦争と冒険に明け暮れたようです。(Wikipediaより)
オリバー・クロムウェル( Oliver Cromwell、1599- 1658年)は、イングランド共和国初代護国卿。
清教徒革命(イングランド内戦)では、鉄騎隊を指揮してエッジヒルの戦いやマーストン・ムーアの戦いで活躍し、ニューモデル軍(新模範軍)の副司令官となる。
ネイズビーの戦いで、国王チャールズ1世をスコットランドに追い、議会派を勝利に導いた。
護国卿時代には独裁体制をしいた。
(Wikipediaより)
出た…「清教徒(ピューリタン)革命」!複雑な歴史と絡んでいるようです。
以下は「新美の巨人たち」で放映された内容。
1834年、もともとあった宮殿は火災で大半が消失…
その後の再建計画では、隣のウエストミンスター寺院との調和を考えてゴシック様式か、エリザベス朝様式がコンペの応募要項になった。
当時のイギリスでは、ギリシャやローマの古典主義が国家の建物としてふさわしかったので、教会、学校、図書館に用いられたゴシック建築は国会議事堂では例がない。
そのため物議を醸したが、完成後は「ゴシックリバイバル」と呼ばれ絶賛された。
出品作97点から選ばれたのはチャールズ・バリー。
そして、もう1人の設計者は無名の20代前半だった若者オーガスタス・ピュージン。
近くで見たときの繊細な装飾は、ほとんどがピュージンの作と言われる。
セントスティーブンスホール
鮮やかなステンドグラスに囲まれたセントスティーブンスホールは、彫刻と絵画が並んだ回廊。
床はミントン社のタイルで飾られています。
このタイルが重要文化財の旧岩崎邸から発見されたのが2003年。(デザインは違います)
岩崎邸を建てたのは、ロンドン生まれの日本近代建築の父、ジョサイア・コンドル。
世界は何かとつながっているのです。
日本の国会議事堂には行ってませんが、イギリスの国会議事堂には入ってきました。
天井が高い!すばらしい彫刻とステンドグラスの数々…
この宮殿が国会議事堂なのです…
この先は撮影禁止でした。中には入れます。
ピュージンこだわりの設計と言われる豪華な巨大シャンデリアと金の装飾が施された「セントラルロビー」、そして「貴族院」「庶民院」。
これがイギリスの国会議事堂「ウェストミンスター宮殿」です。
美しすぎて荘厳すぎました。
実際の議場は立入禁止ですが、それ以外はほぼ自由に見学できます。
実際の宮殿内部は、写真の数百倍凄いです。これは行かなきゃわからない。
そして隣にあるのが、「ウェストミンスター修道院」。
ウェストミンスター・アビー
ウェストミンスター寺院は、「戴冠式」などの王室行事が執り行われる「イングランド国教会の教会」で「聖ペテロ修道教会」。
寺院なのか、修道院なのか、教会なのか…???
奥行156.4m、幅61m、高さ69m、空から見ると十字架の形をしています。
この中世の壮大な建物は、11世紀に「エドワード懺悔王」が建設。
1066年の「ウィリアム1世」以来、「エドワード5世・8世」以外の全ての英国国王が、「エドワード懺悔王の礼拝室」で戴冠式を行っています。
1245年には、「ヘンリー3世」に招かれたフランスの建築家が改装を始め、ゴシック建築へ。
その後、20世紀に至るまで長期間、さまざまな様式で増改築されています。
修道院(寺院)として、歴代の王や女王、政治家、著名人が多数埋葬されていますが、これ以上埋葬はできないようです。
英国でも最重要クラスの建造物なのです。
この当時、北側は改装中でした
素晴らしい造形美です。これぞまさにヨーロッパ建築といった感じです。
入場(有料)するにはこの行列…ですが頑張って並びました。しかし…
内部の撮影は一切禁止!
というわけで写真はありません。
イギリスの教会で最も高い31mの天井がある空間。
エドワード懺悔王やヘンリー3世といった歴代国王の墓に加え、シェイクスピアやニュートン、ヘンデルの墓などもあります。
天井を見上げると、「リブ・ヴォールト」という美しい曲線が織りなす構造に気付きます。
リブ・ヴォールトは、梁から柱へ重さを伝え、外にある飛び梁と共に、屋根の重さを支えています。
こうして壁にかかる負担を減らすことで、大きな窓の設置を可能にしました。
英国にとって最も神聖な場所の一つでもあります。
写真使用は有料ですが、見るだけなら無料なので、内部は↓から。
エリザベス女王の国葬が行われたヘンリー7世の聖母礼拝堂は「イギリスで一番美しい天井」と言われています。
あの有名な学校や職場のチャイム「キンコンカンコン」の音階は、この寺院のために1927年に作曲された「ウェストミンスターの鐘」が元となっています。
ビッグ・ベンの鐘もウエストミンスターの鐘です。
聖マーガレット教会
12世紀、ベネディクト派の聖職者によって建設されたロマネスク建築の教会。
その後倒壊などにより、15〜16世紀半ばにかけて再建。
現在に至るまで内装などは修繕されたが、テューダー朝様式を多く残している建造物。
1614年にはウエストミンスター宮殿の教区教会となり現在に至る。
聖マーガレット教会は、時間が足りなくて行けず…いずれ再訪しましょう。
長年の念願だった今回のロンドン旅行は、全てが楽しすぎました。予定通りに4件のイギリスの世界遺産を制覇。
さらに、大英博物館には3日間通い、タワーブリッジやバッキンガム宮殿の中にも入れたので大満足でした。
大英博物館の写真も全てiPhone6で撮りましたが、なかなかのクォリティです。
全部で2000枚以上、おそらくほぼ全ての展示物を撮影できたと思います。
合計で20数時間かかり、最後は閉館間際でバタバタでした。大英博物館、ぼちぼちアップ中…
大英博物館とは?ChatGPTに聞いてみました。 大英博物館は、世界有数の歴史と文化の宝庫であり、多様なコレクションがそ…
それにしてもこの歴史的建造物の荘厳さは、すばらしいの一言です。
ヨーロッパ中にこのような建物が膨大な数ありますので、まだまだ先は長く楽しくて仕方がありません。しかし…
英ウェストミンスター宮殿老朽化、議会移転を可決 時期は未定
というニュースが、2018年2月2日に出ていました。
英議会議事堂のあるウェストミンスター宮殿の老朽化が進んで火災発生などの危険が高まったとして、英下院は2日までに、修復作業…
2025年以降の話ですが、さすがにもう修復工事をしないともたないくらい老朽化しているようです。
世界遺産の維持には何かとお金がかかるのです。
そしてこの修復工事、日本の会社が行うようです。
「日本工営グループ」の英国建築設計会社BDP社(BDP Limited/本社:英国マンチェスター)が、ウエストミンスター宮殿の大改修事業に係る建築設計業務を、英国議会から受託したというプレスリリースが同社より出ています。
11世紀にエドワード王(懺悔王・証聖王)によって建てられ、16世紀までは国王の住居でした。その後、1547年から国会議事…
ロンドンの世界遺産4件は予定通り制覇しました。
帰りの便のトランジットで訪れたのが、タイのバンコクです。
東南アジアの国「タイ」。アジアで欧米の植民地にならなかったのは、実は日本とタイだけです。 そんなタイのことを知る第一歩と…
迷わず行けよ、行けばわかるさ、世界遺産