世界遺産「古都京都の文化財」巡りへ。修羅の国「福岡」から約650km、車で京都へ向かい、5日かけて17件の構成資産全てを訪問しました。
どこも必見の歴史遺産で、間違いなく日本を代表する世界文化遺産です。
世界遺産、全部行ったら海賊王!
古都京都の文化財(Historic Monuments of Ancient Kyoto)
1994年登録
2018年9月16~18日
古都京都の文化財巡り3日目の続き
午後からはだいぶスケジュールが変わり、予定していた延暦寺の通り道近くにあった「銀閣寺」に向かいました。
観光客もそこまで多くもなく、侘び寂び具合もちょうどよく、非常にいい場所でした。
10.銀閣寺(東山慈照寺)
観音殿=銀閣(国宝・1489年)
鹿苑寺の「舎利殿(金閣)」、西芳寺の「瑠璃殿」を踏襲し、本来は「観音殿」とよばれていました。
一層の「心空殿」は書院風、二層の「潮音閣」は花頭窓に桟唐戸という唐様仏殿の様式です。閣上の聖堂の鳳凰は東面し、観音菩薩を祀る銀閣を守り続けています。
東求堂(国宝・1486年)
足利義政の持仏堂。一層の入母屋造り、檜皮葺きの現存する最古の書院造。同仁斎とよばれる北面東側の茶室は、四畳半の間取りの始まりと言われている。
展望所からの眺め…こういう造りは金閣寺によく似ています。
いろいろな意味で最も風流でバランスのよい場所が、この銀閣寺だったような気がします。
そういった感じ方は人それぞれで異なるでしょうが、とても心が落ち着き、いつまでも居たいと思わせる場所でした。
次に行く前に、腹が減ったので飯にしました。おにぎり屋があったので、おにぎりと鮎の塩焼きをいただきました。
鮎の塩焼きは、時代劇の「水戸黄門」でよく出てきたので、いつか食べたいと思っていました。
そう、人生楽ありゃ苦もあるさ。
そして塩焼きを喰らったら、この日の最後の目的地「醍醐寺」へ。
11.醍醐寺
この後ろが伽藍で、国宝の金堂や五重塔があるのですが、台風被害のため立入禁止…霊宝館と三宝院のみ見ることができました。
金堂(国宝)は、豊臣秀吉の命により紀州から移築されたもので、本尊の薬師如来坐像、日光・月光菩薩立像は重要文化財指定です。
醍醐天皇の菩提を弔うために951年に完成した五重塔(国宝)は、京都府最古の木造建築物です。
唐門(国宝・1599年造営 2010年に修復)
三宝院の表書院(国宝)は、この唐門の後ろにありますが写真は撮れませんでした。
三方院は、豊臣秀吉が1598年に催した「醍醐の花見」を契機に整備され、庭園は秀吉自らが基本設計をしたものと言われています。
しかし、醍醐寺には下醍醐と上醍醐があり、ここはその下醍醐。
下醍醐から約1時間、山道を登っていくと、醍醐寺開創の地である上醍醐に着きます。
上醍醐にも多数の国宝、重要文化財に指定されている場所があり、ここも次回来訪しましょう。
次の日のことを考え、祇園というところに宿を取りました。この祇園が京都一の繁華街だということを、来てはじめて知りました。
とにかく人が多い…日本人も外国人も…静かで風流な京都もいいが、賑やかなのも一興でよいぞ。
4日目
さすがに奈良から続けて寺や神社を20件近く訪れると、だいぶ疲れが出てきます。
しかし、明日にはもう京都を出るので、この日に4件、明日2件をこなさないといけません。だんだん観光ではなく修行僧のようになってきました。
12.清水寺
清水寺は朝6時から開いているので、1日にたくさん回るのであれば最初に来るのがベストです。
あの清水の舞台から飛び降りる、の清水寺です。しみずではなく、きよみずだ。
仁王門(重要文化財)と三重塔(重要文化財)
清水寺本堂(国宝・1663年再建 創建は798年)
2018年は、本堂の檜皮屋根の葺き替え工事中でした…中には入れましたが、外はこんな感じでした。
紅葉の時期に来たら、もっと美しかったことでしょう。次に来るときは紅葉の季節にしましょう。
この大改修は2008年に始まり、2017年2月〜2020年2月に50年ぶりの本堂屋根の葺き替え工事が終了。再び美しい姿を見に行く日を待ちます。
そして清水寺を出て参道で朝食。
八つ橋クレープとやらを食してみると、これがなかなかうまし。さらに飲んだ宇治茶が美味すぎて、おみやげに最適です。
13.延暦寺(滋賀県大津市)
早朝に清水寺に行ったのは、次の延暦寺がかなり遠いからです。17件中14件が京都市、2件が京都府宇治市、この延暦寺だけが滋賀県です。
京都じゃないけど、まあ細かいことは気にしない気にしない…
延暦寺に行くには、急カーブの山道を登らなくてはなりません。そして、途中でわかったのは、「比叡山ドライブウェイ」という専用有料道路を通らないといけないということです。
琵琶湖…約400万年の歴史を持つ日本最大の湖。世界で20程しかない貴重な古代湖の一つ。大昔にはゾウやワニもいたそうで、すごい歴史は琵琶湖博物館で学べます。
琵琶湖は世界遺産に入ってませんが、京都とも密接な関係があります。
幕末、京都は戦火で荒廃し、明治維新後は遷都によって人口が激減しました。
そこで琵琶湖の水を引いて産業振興させました。これが「琵琶湖疏水(そすい)」です。
京都の歴史には欠かせないので、琵琶湖疏水も要チェックです。さらに琵琶湖からは多数の縄文式土器も発見されています。
そして延暦寺ですが、単一の寺の名前ではなく、比叡山にある1700ヘクタールの境内地に点在する約100ほどの堂宇の総称です。
「東塔地域」、「西塔地域」、「横川地域」という三つのエリアがあり、全部行くとなると丸一日かかるので、今回は一番近くの「東塔地域」だけにしました。
東塔までだと往復で1670円かかります。西塔、横川までなら3920円です。
そしてようやく到着。比叡山延暦寺…ここもまた教科書でよく出てきたお寺です。
まずは国宝殿で開催されていた至宝展を見学。
そして国宝の「根本中堂」は工事中でした。しかも他の寺社とは違い、お堂をまるごと建物が包んでいます。
この工事の形態は、以前行った世界遺産「富岡製糸場」と同じやり方です。
2019年に映画「跳んで埼玉」で有名になった埼玉県に世界遺産はありません。しかし、群馬県には世界遺産がある! 明治時代、…
今回は60年ぶりの大改修で、2016年から10年間の予定です。というわけで、2026年以降に再訪予定…
中に入ることはできます。
文殊楼…中に入れますが、階段というよりはしごに近いものを上り下りするので、足が悪い人にはおすすめできません。
戒壇院(重要文化財・1678年再建)
重要文化財なのに穴場なのか、人が誰もいません。山の中の寺なので階段が多く、かなり上り下りしないといけません。
この東塔地域を回るだけでも2時間近くかかりました。西塔、横川中堂(拝観は16時まで)に行けば、間違いなく丸一日かかってしまうでしょう。
まだ次があるので、今回は東塔のみで。
そして再び比叡山ドライブウェイを下り、京都市内へ戻りました。
京都市最後の残り2件は神社です。そして宇治市の2件で全17件制覇です。
古都京都の文化財4日目、比叡山から京都市内へ戻り、2つの神社へ向かいました。
これまで二条城以外は全てお寺でしたが、最後の4件中3件は神社です。
14.賀茂御祖神社
楼門(重要文化財)
高さ13メートル。東西の廻廊とも古代様式を伝えている。二十一年おきの式年遷宮ごとに造替されてきたが、寛永度以降は解体修理をして保存している。
神服殿(重要文化財・寛永期)
元々は、夏・冬の御神服を奉製する御殿。御所が災害に遭われた時、臨時の御座所と定められている。
中門(重要文化財)
この中に、西御本宮(国宝)と東御本宮(国宝)がありますが、撮影不可です。特別参拝は可能なので、見ることはできます。
おてあらいではなく、みたらし。みたらし団子と関係があるようです。
夏には御手洗祭が開かれます。
なんとあの「さざれ石」が!国歌「君が代」に出てくるあの石です。
さらに「糺(ただす)の森」という下鴨神社の社叢林が、賀茂川と高野川の合流地点にあります。この森も世界遺産の登録範囲です。
下鴨神社と上賀茂神社は親子なので、両方行くとより神話の内容がよくわかります。
というわけで、この日の最後は、上賀茂神社へ。
15.賀茂別雷神社
いかずち神社、かっこいいネーミングです。雷を別けて天に昇っていく神を祀っているとのこと。詳しくは神話を聞いてよくわかりました。
細殿(重要文化財・寛永期)
賀茂別雷神が降臨したと伝えられる本殿の背後に位置する「神山(こうやま)」を模したものが、この立砂(たてずな)と呼ばれる二つの盛り砂です。
「清めのお砂」の起源といわれています。頂には、神様が降臨する際の目印に松葉が立てられています。
上賀茂神社は、平安京以前の都「長岡京」の鬼門(北東)に位置しており、厄災から都を守る役割を担っていたといわれています。
楼門(重要文化財)
楼門をくぐると、中門の奥の東側に「本殿(国宝)」、西側に「権殿(国宝)」が左右対称に建っています。
賀茂別雷神は、この両社殿を行き来しながら鎮座しているといわれています。特別参拝にて拝観可能です。
特別参拝にて、神話を聴くことができました。
賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)の娘の賀茂玉依比売命(かもたまよりひめのみこと)が、鴨川で遊んでいたところ、川上から丹塗矢が流れてきた。
それを持ち帰って寝床の近くに置いたところ玉依比売命は懐妊し、男の子が生まれた。
その御子の成人の祝宴の席で、賀茂建角身命が「お父さんにもこの酒をあげなさい」と言ったところ、その御子「賀茂別雷命」は、「我が父は天津神なり」と言い、屋根を突き抜け、雷鳴と共に天に昇っていった。
丹塗矢の正体は乙訓神社の火雷神であったという。詳しくはWEBで…
上賀茂神社は、京都でもっとも古い神社であり、雷(いかづち)の御神威により、厄を祓いあらゆる災難を除き給う厄除(やくよけ)…
2019年は「即位の大礼」で、元号が「平成」から変わるので、「即位の大礼」は京都で行ってほしかったと京都のある方からお聞きしました。
明治~昭和天皇の「即位の大礼」は、京都御所で行われていますが、今上天皇(平成天皇)の際は、東京の皇居で即位の礼が行われています。
その際、「高御座」と「御帳台」は、陸上自衛隊のヘリコプターで皇居まで運ばれたそうです。来年2019年の皇太子徳仁親王の際の運搬は、陸路での運搬となっています。
実際に運ばれる数日前に京都に来ていたので、この話を聞いた時、高御座は解体中だったようです。数日後のニュースで、東京に運ばれる様子が流れていました。
最後の2件は京都府宇治市にあるので、上賀茂神社から約20km、車で移動し、宇治市の「平等院」近くの宿に泊まるのであった…
5日目
まずはあの10円玉のデザインでもある平等院へ。朝8時半に開場なので、それに合わせて行きました。
9時半頃から団体や修学旅行生が大挙しておしよせたので、写真を撮りたい方は早朝に行くと撮れます。
16.平等院
平等院鳳凰堂【阿弥陀堂】(国宝・1053年建立)
平等院は1052年、関白藤原頼通が父道長の別荘を寺院に改め創建。
翌年、阿弥陀如来を安置する阿弥陀堂が建立され、これが現在「鳳凰堂」と呼ばれています。
1890年開業の帝国ホテルのモデルと言われています。帝国ホテルの初代会長は2021年の大河ドラマで要注目の渋沢栄一。
渋沢栄一は農家出身で養蚕に詳しかったため、世界遺産「富岡製糸場」の設置主任にもなっています。
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※本物の鐘は日本三名鐘の一つ。平安時代のもので「国宝」。鳳翔館で見ることができます
鳳翔館(ミュージアム)は、9:30オープンです。屋根の上の鳳凰の本物(国宝)も展示してあります。
浄土院(平等院の塔頭・15世紀後半)
塔頭(たっちゅう)とは、大寺の山内にある小寺のことです。平等院修復のために開創した寺のようです。
大書院(非公開)
平等院山内で最も古い書院。
しかし美しい平等院…京都滞在の5日間で、一番晴れた日に行けました。めでたしめでたし。
さらに右の橋を渡って内部拝観ができます(別料金・予約・定員制)。
内部には、国宝の本尊「阿弥陀如来像」が鎮座してあります。これは日本を代表する仏師定朝作の、現存する唯一確実な像です。
1053年に納められた日本独自の「寄木造りの完成形」と言われています。
17.宇治上神社
平等院から歩いて行けるのが宇治上神社。宇治川にかかる朝霧橋を渡って行けます。
ついに京都の世界遺産、最後の17件目です。
まずは、宇治神社(世界遺産ではありません)
そして宇治上神社へ。こちらが世界遺産。
本殿(国宝・平安時代後期)
神社建築として日本最古遺構のようです。
宇治上神社は小さいので、よく見ても30分かかりません。神社のすぐ前に無料駐車場があるのですが、わからなかったので700円もする離れた駐車場に止めてしまいました。
ここは入場料も何もかからないので、唯一「御朱印」を買ってみました。
秋限定の「紅葉」朱印です。
これで世界遺産「古都京都の文化財」全17件中16件を一応クリア。
西芳寺の他にも、あらためて再訪する場所がかなりあります…
そしてこの後は、広島で一泊し、山口県の萩へ。
世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の内の5件が萩にあるのです。
世界遺産、全部行ったら海賊王! 「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(Sites of Japan’s…
迷わず行けよ、行けばわかるさ、世界遺産