19世紀中頃、フランス人の博物学者「アンリ・ムオ」が、ジャングルの奥地で発見した遺跡が、数百年以上も密林の中に放置された「アンコール・ワット」でした。
アンコール・ワットは、南北に約1300m、東西に約1500mの塀で囲まれており、外堀の幅は190m、参道は約600mというアンコール遺跡最大の寺院 です。
世界遺産、全部行ったら海賊王!
アンコール遺跡群(Angkor)
1992年登録
2019年7月1・4日
「アンコール・ワット」は、 12世紀前半に、「スーリ・ヤヴァルマン2世」によってヒンズー教寺院として、30年の歳月をかけて建築されました。
現在は年間約300万人の観光客が訪れる、おそらく東南アジアでは人気ナンバーワンの世界遺産です。
世界遺産は、「アンコール遺跡群」なので、「アンコール・ワット」だけではありません。
世界遺産登録エリアは約400㎢で、そこに含まれる遺跡は全て世界遺産です。
というわけで、全て行くのにどれくらいかかるかわかりません。代表的なものに絞って行ってきました。
1.アンコール・ワット
2.アンコール・トム遺跡群
3.タ・ケウ
4.タ・プローム
5.バンテアイ・クディ
今回、カンボジアへは隣国のタイから入国。タイ最大の市場、バンコクの「チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケット」を視察した後、「ドンムアン空港」へ。
夜8時に離陸。そして、カンボジアへ向かうエアアジア機内で、離陸10分後に激しい揺れが…
ちょっと揺れすぎだろうと、ふと窓の外を見ると、なんと右翼から激しい火花がスパーク!!
しかし、乗客乗員は、特に誰も気づいていません。そして恐らく自分だけ一気に警戒モードに…まさかの墜落も危惧しました。
墜落時にどうやって生き残るかも、常にシュミレーションしておかないといけません。
その後数分間、ずっと火花は飛び散ったままでしたが、ようやく消えました。後は何事もなく飛空…そして約50分で、シェムリアップ空港に無事着陸。
先ほどの火花は、後から調べたら、あの「セントエルモス・ファイヤー」だと判明…勉強になります。初めて見た…
迎えのトゥクトゥクでゲストハウスへ。チェックインして、すぐに翌日のスケジュール調整。
「アンコール・ワット」の夜明けを見るために、翌朝は4時起床。
アンコール・ワットへ
朝暗い4:30に出発。トゥクトゥクに乗り、まずはチケットセンターへ。7月に来ましたが、朝は肌寒い…
4:45にはチケットセンター着。この時間でもいきなり行列…しかしよく見ると、1dayパスのレーンだけが多く、3daysは誰もいません。
並ばずに「アンコール3日券(10日間のうち3日入場可能という意味)62US$」を購入。カード払いOKです。
アンコール・ワットだけでなく、アンコール遺跡群共通のチケットなので、3日分必要でした。
5:10、「アンコール・ワットのサンライズ撮影ポイント」へ到着完了。
アンコールワット・サンライズ
日の出は5:40だったので、現地で軽く朝食。踊りながらメニューを勧めてくるカンボジアレディを見て…サンドイッチを購入。
3時間半くらいしか眠れず、頑張って早起きをしたわけだが…この日は曇り空。まあ仕方がない。この3日後にも再挑戦したが、やはり曇り…
しかし、見学時は曇りがベストです。晴れたら暑くて体力を消耗します。雨も嫌です。
ベストシーズンは乾季の11~1月らしいですが、7月も悪くありませんでした。
中に入る前に、外観を何枚か撮影。すると、放置されたゴミが!すぐそばにゴミ箱があるのに…こういうことをする奴は、世界中にいます。
ゴミを放置する奴こそ、ゴミであると知れ。
きつい言い方ですが、どこの国の人とか関係なく、自分で意識して気を付けないと、美しい世界はゴミであふれてしまいます。
そして入場口では、ガイドを付けるか?と聞かれたので、ちょっと考えてつけることにしました。2時間で15$です。英語のガイドです。
中国人観光客が多いので、中国語ガイドや、他にもスペイン語もいました。日本語ガイドも少しいるようです。
なお、入口付近では正規のガイドでない奴も、やたらと声をかけてくるので注意!
基本的に声をかけてくる奴は、だいたい胡散臭い…
アンコールワット内部
写真は西塔門の中央。この中に入ると現れるのが…
「ヴィシュヌ神」!
もともと「アンコール・ワット」は、創建者である「スーリヤヴァルマン2世」が、ヒンドゥー教三大神の一神「ヴィシュヌ神」に捧げた寺院のようです。
地球の歩き方では、「スールヤヴァルマン2世」ですが、 世界遺産大事典やWikipediaでは「スーリヤヴァルマン2世」です。
ローマ字表記 Suryavarman でもスーリ、またはスーリャの方がしっくりくるので、「スーリヤヴァルマン2世」で統一しましょう。
この門をくぐれば、アンコール・ワットの敷地内です。目指す「中央祠堂」まで、まだだいぶ距離があります。
参道途中の左右に、独立した建物があります。この外にある「経蔵」は、ガイドの説明では、王のための図書館だったようです。
第一回廊の内側にも、経蔵と呼ばれる建物があります。
アンコールワット中心部
ようやく「第一回廊・西塔門」へ到着。手前は「十字テラス」です。今からが本番、ここからが「アンコール・ワット中心部」です。
「アンコール・ワット」には、7月1日と4日に来ましたが、どちらも朝日(撮れず)を見に来た後に入場したので、全て午前中の写真です。
アンコール・ワットのいい写真を撮るなら「午後」!
最初に来た時は、地球の歩き方に掲載の図と実際の感覚が掴めず、ガイドの誘導で見て回りました。約1時間45分。
実際、それでは全然時間が足りず、4日に来た時は、4時間程細かく見て回りました。2回目は図解も理解していたので、どこに何があるかは、ほぼわかりました。
この十字テラス手前の左手(北側)には、屋台があり、見学終わったらドリンクを飲みに来てくれ!のお誘いをいっぱい受けます。
しかし、ポカリスウェットを水筒に入れて持って来ているので、ノーオークンであった。(クメール語:オークン=サンキュー)
「アンコール・ワット」は、西から入るので、向かう先(中央祠堂)は東、向かって左が北、右が南になっています。
西塔門から入ってすぐ左右に行ける通路が、一番外側にある「第一回廊」です。左に行くと「ラーマーヤナ」、右に行くと「マハーバーラタ」が描かれています。
「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」とは、古代インドの二大叙事詩と言われる壮大な神話・物語です。詳しくはwebで…
10代後半の時に興味を持った古代文明や神話、オーパーツなどなど…当然「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」も入っています。長すぎて完読はしてませんが…
第一回廊は後で行くとして、まずはまっすぐ進み、「十字回廊」へ。脇には「沐浴池の跡」と呼ばれる四箇所の池(の跡)があります。
そしてこの十字回廊の中心部で、ガイドが証明してくれたのが、この建物が正確に東西南北を向いているということでした。
そしてこの時見たスマホの「方位磁針アプリ」。今回のカンボジア滞在時に大いに役に立ちました。
というのも、カンボジアのメジャー電話会社のSIMを使っていましたが、繋がりが悪く、肝心な時にGoogleMapが使えなかったからです。
さて、この十字回廊の近くには、「エコーポイント」と「日本人の落書き」もあります。ここも要チェック。
今、落書きしたら逮捕ですが、これは貴重な資料として、特に日本人観光客向けに紹介されています。
最初ガイドが、「マリマット!」「マリマット!」と言うので、???となりましたが、ピンと来て「地球の歩き方」をサーチ。すぐに「モリモト」だとわかりました。
他にも彩色が残る壁や天井の場所をピンポイントで説明してくれたり、ガイドがいれば行きたい所がすぐわかるのがメリットです。
アンコールワット 第二回廊
十字回廊を過ぎて中央へ向かうとすぐに第二回廊へ着きます。第二回廊内部は特に見どころはありませんが、第二回廊の外壁(内側・第三回廊側)には多数のデバター(女神)像があります。
そして「第三回廊」へ…この第三回廊は、階段を13m上がった所にある一辺約60mの正方形の回廊で、中央に中央祠堂、四隅に副祠堂がそびえたつ「アンコール・ワット」の中心です。
しかし、ガイドによるとなんとこの日は「仏教の日」で入場不可!その年によっても違うようですが、6~8日おきに1日、入場できない日があります。
アンコール・ワットに一日しか来ない人は、事前に要チェック!
アンコールワット 第三回廊
3日後に再び来た時は、まず一気に第三回廊に向かいました。3dayチケットを持っているので、10日間で3回入場可能なのです。
1dayチケットとは違うのだよ… 1dayチケットとは !だいぶ高いけど…
第三回廊の階段はかなり急なので、お太り様は特に気を付けて登って下さい。落ちたら終わりです。
第三回廊の中央、中央祠堂の高さは、約65mあります。この第三回廊は、シェムリアップでは最高層なので…
第三回廊は、古代インドの思想における須弥山(メール山)を模しており、ここは世界の中心であり、神々の住む世界だったのです。
天界から下界を眺めながら、この祠堂内で王は神と対峙していたのでしょう。建立当時は、中央祠堂内に黄金のヴィシュヌ神が祀られていたようです。
そして第三回廊を降り、最後にじっくりと鑑賞して回ったのが、第一回廊です。
アンコールワット第一回廊
第一回廊は、ものすごい量のレリーフで壁が埋め尽くされており、ガイドの説明を聞きながら見る人もいれば、さっさと通り抜ける人もいます。
今回行った時、観光客はそんなに多くなかったので、かなりの写真が撮れました。
北面 クリシュナとヴァーナ(阿修羅)の戦い/アムリタをめぐる神々対ヴァーナ
蛇神ナーガも、ヒンドゥー神話では重要な神であり、モンスターです。
アンコール遺跡以外のカンボジアに遺跡にも多数祀られていますし、博物館内にある仏陀の光背になったり、大活躍です。
「ヴィシュヌ神」「シヴァ神」と同じ三大神の「ブラフマー神」がここで出てきました。
しかし、アンコール朝の時代はあまり人気がなかったようで、出てくるのは大体ヴィシュヌかシヴァです。
西面(北側) ラーマーヤナ
「ラーマーヤナ」は、紀元前3世紀頃に成立したとされる、聖書に匹敵する量の大長編叙事詩です。
「ラーマ王子」が、誘拐された妻「シータ」奪還のため、ラークシャサの王(魔王)「ラーヴァナ」と戦うという内容です。
出ました「ハヌマーン」。こちらも蛇神ナーガと同様有名な動物キャラです。ラーマ王子を助ける猿軍の将軍様です。
ラーマ王子の姿は、アンコール・ワット創建者スーリヤヴァルマン2世に似ているとか…
魔王ラーヴァナ…要するにラスボスです。確か十数年前に、どこかの大学でアニメ版「ラーマーヤナ」を上映していたのを見に行った記憶があります。
それ以前に、このインド神話やラーマーヤナなどのキャラクター達は、ずっと昔から知っていました。最初に知ったのは、ファミコンゲームの「女神転生」からでした。
西面(南側) マハーバーラタ
もう一つのインドの古代叙事詩「マハーバーラタ」。世界最長級の物語で、聖書の4倍相当の長さのようです。
「パーンダヴァ族」と「カウラヴァ族」の王家の争いを軸にいろいろと物語が重なっているようです。
この 「パーンダヴァ族」と「カウラヴァ族」 を合わせたのが「バーラタ」です。
これに「マハー(偉大な)」がついて「マハーバーラタ」というわけです。…試験には出ないので、覚えなくていいです。
とにかく壮大な物語…まあ、世界遺産全部見て、やることなくなったら読んでみましょう。
この「マハーバーラタ」には、「クリシュナ神(ヴィシュヌ神の化身)」の物語「ハリヴァンシャ」や、著名なヒンドゥー教の聖典「バガヴァット・ギーター」の一部なども収められています。
ややこしいので、このへんで終了。
南面(西側) スーリヤヴァルマン2世の行軍
南面(東側)「天国と地獄」
東面(南側) 乳海攪拌(にゅうかいかくはん)
ヒンドゥー教の創世神話「乳海攪拌」の場面です。1000年も海を攪拌したことによって、
「不老不死の薬アムリタ」
「ヴィシュヌ神の妻になるラクシュミー」
「インドラ神の乗り物の象(アラヴァータ)」
「5つの頭を持つ馬」
「水の妖精アプサラ」
が現れた、というストーリーです。…不老不死!
「アンコール・ワット」…とにかく壮大でした。よく造ったなとしか思えません。
初日はガイドを付けたので、15$の支払いでしたが、なんと20$紙幣しかなく、ガイドもお釣りを持ち合わせていなかったので、5$はチップとなりました。ラッキーなガイドだ。
この後は、「アンコール・トム」に行きました。これまたもの凄い建造物でしたので、別ページにてComing soon…ということで。
「アンコール・ワット」、サンライズが見れなかったのは残念でした。そして、もう一つ残念なことが…
最終日の5日目、朝晴れたので、とっておいたアクティビティに向かいました。
その名も、ANGKOR BALLOON! そう、気球に乗って空からアンコール・ワットを見るのです。20$なので、非常にお得です。
しかし、なんと行った時は休業…7月5日に行きましたが、7月と8月は休業とのことでした。なんてこったい!!
ANGKOR BALLOON 7・8月は休業!
Angkor Balloon proposes a unique flight experience just 800 …
では、次回はサンライズとバルーンだな。バンコク経由で行けば、アンコール・ワットは比較的行きやすい世界遺産と言えます。
迷わず行けよ、行けばわかるさ世界遺産
そして残り2つの地へ
クメール語で「神聖な寺院」 を表す 「プレアヴィヒア」。 海抜625m、 ダンレク山地の断崖の頂上にあり、「アンコール・…
カンボジアの世界遺産 「サンボープレイクック」 は、アンコール王朝より数百年前に起こった古代国家「真臘(しんろう)」の遺…